kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



スマートテレビは今後どうなる?

 スマートグリッド、スマートシティ、スマートフォンと、なんにでも「スマート」が付くようになった。数年前の「ユビキタス」と同じだ。いわゆるbuzz wordってやつだ。
 そんな中で、スマートテレビに関しては注視している。昔は通信放送融合が進化の方向と考えられていたテレビだが、インターネット広告の増加とその結果のTV広告激減。TV広告激減によるTV番組のマンネリ化と視聴率低下、そしてそれによる広告収入低下という負のスパイラルがTV局を取り巻いている。これは日本だけではなく、米国でも"Cord Cutting"運動(ケーブルTVを解約して、Youtube, Hulu, NetFlixを見ようというムーブメント)にさらされている。
 要するに、昔の通信放送融合とはTV(TV局による電波放送)が51〜80%で残りが通信というイメージだったのが、いまやTVは斜陽産業となりTV局自身が通信にどう乗り換えていくか考え始めている。ところが、インターネットの世界ではTV局の支配が及ばないので中々うまくいかない。TV局というのは経済産業省の電波行政に守られた保護産業である。鎖国していたTV局に黒船Youtubeがやってきて、破壊的な影響を与えている。
 一度つぎのどちらかをを試して欲しい。もう電波のTVを見る気にはならなくなる。

  • パソコンに2万円弱の良いスピーカをつけて、Youtubeを見る
  • パソコンをTVに(HDMIで)つなぎ、YoutubeをTV画面で見る。

Olasonic 薄型テレビ用高音質スピーカー ブラック TW-D7OPT(B)

Olasonic 薄型テレビ用高音質スピーカー ブラック TW-D7OPT(B)

追伸

2011年8月5日

 日経エレクトロニクスによると、TV業界はTV-boxをスマートにすることをあきらめかけているようです。上述のCord Cuttingのムーブメントに対抗するために、ケーブル会社がTV-boxだけでなくPCでも番組の視聴を認めた。これにより、TV-boxはリビングの王様という地位を奪われ、PCや携帯電話と並ぶただのTV番組表示装置に成り下がる。そうするならば、インターネットとの連携機能を作りやすいPCや携帯電話を中心に視聴者へ広告を打つことをTV局やケーブル会社が考えるのは当然である。
 

サムソンのデモから見るWi-Fi Direct

 Mobile World Congress 2011(MWC2001)でサムソンがWi-Fi Directのデモを行った。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110216/357274/

 デモの内容は、スマートフォン同士で写真を共有するというもの。

 さて、このデモがいけてるかというと、全くいけてないと思う。写真共有だったら、Bluetoothでもできるし、赤外線でもできるし、セルラー回線とクラウドサービスを使って行うことができる。天下のサムソンが考えて、写真共有程度のユースケースしかないのだったら、世界中を見渡してもこれ以上のユースケースは(少なくとも大手の会社には)無いのだろう。

 Wi-Fi Directのような近距離無線通信によるデータシェアは、クラウドサービスと真正面からぶつかる。もちろん、近距離無線で通信を行う方がコスト的には低いのだが、クラウドサービスには集合知による付加価値とメールアドレスによる認証という武器がある。大雑把に言えば、どっちも互角というところ。
 Wi-Fi Directの普及の最大の障壁は、セキュリティの設定だと思う。認証の設定って面倒で、一部の人しかやりたがらない。認証設定をユーザから見えなくすることってできないだろうか。

十字軍とIETFとスマートグリッド

 今日は難しい話です。私の文章力を超える話題なので、読み手の想像力で補ってもらえると嬉しい。

 まずは、十字軍の復習から。十字軍は、キリスト教徒の聖地エルサレムイスラム教徒からキリスト教徒が奪還する神の戦いである。その背景には、聖地エルサレムを巡礼に訪れたキリスト教徒を、イスラム教徒が迫害していたという事実がある。当時のローマ教皇が迫害されているキリスト教徒の保護と、聖地エルサレム奪還を目的とした聖戦を呼びかけた。この聖戦に感銘した騎士・諸侯・民衆がこれに応じ、十字軍となってエルサレムに進撃した。ここまでは、学校で教わる表向きの十字軍である。
 裏に隠された十字軍の本当の理由というのは、(以下、「大人の教科書 世界史の時間」24,25ページより)
ローマ教皇の理由

十字軍を組織した背景には、聖地奪還を名目に東西に分離していた教会を統一したい、というローマ教皇の野心があったのである。

諸侯・騎士の理由

十字軍に参加した諸侯や騎士達の目的は略奪品や領土を手に入れること

商人の理由

また商人たちは侵略戦争によって東方貿易が拡大することを望んでいたのである。

農民の理由

さらに、農民は十字軍に加わることで、借金の帳消しや土地の確保を要求することも出来た。

  さて、十字軍を振り返って分かることは、

  • 表向きの理由(名目)の下に、様々な理由をもった人たちが参加して運動は行われる
  • 表向きの名目を信じる純な人もいる(少年十字軍の参加者や、熱心なキリスト教徒(諸侯・騎士・民衆))
  • 裏の理由を持った人たちは、表向きの理由を信じている純な人をうまく利用する

自分は「純な人」ではない、「純な人」はよっぽどバカなんだと思うかもしれないが、集団でウソ*1をついているとき、それを信じたい人は自らだまされる(いかに簡単にだまされるかに興味のある人は、「人間 この信じやすきもの」を読むことを勧める。)。

 さて、1990年代のIETFの成功の影響で、どうも通信業界では、自分の提案を標準化したことが成果になるようである。多くの大学の先生や公的研究機関の研究者が「標準化しました」と発表している。そういう発表の場では、「標準化してどうするんですか?」と聞くようにしているのですが、答は一様に「標準化により相互接続が実現され、市場が拡大するのです」である。さらに、「その標準って使われてるんですか?」と聞くと「将来使われます」と大体返ってくる。
 さて、現在IETFの策定した仕様(RFC)の数は6295です。こんなたくさんの仕様を世の中で使うわけも無く、ほとんどがジャンクスタンダードです。では、なぜジャンクスタンダード作りにみんなが邁進するかというと、裏の理由があるからです。裏の理由とは、ずばり「研究成果に見えるから」です。
 十字軍の例に戻ると、「純な人」は必ず存在していて聖戦という表向きの理由を信じています。裏の理由を持っている人は、この「純な人」を使って十字軍を組織して戦わせます。標準化に参加している人を見ると、「標準化により相互接続が実現され、市場が拡大するのです」という表向きの理由を信じている「純な人」と、「研究成果になるから」という理由を分かっている人の両方がいるように感じます。
 さて、いま日本ではスマートグリッドブームです。標準化十字軍の矛先はスマートグリッドに向うことが予想されます。つまり、「何のために標準化したのですか?」の問いに「スマートグリッドで使われるのです」と答えることが予想できます。そしてその戦場はIETFに留まらず、IEEEやETSIやISO/IECへ拡大するものと思います。

 第4回十字軍が(ベネチア商人の要求で)エルサレムではなくビザンチン帝国を攻撃したような、表向きの理由では到底説明できそうに無いことをやってのけたことが脳裏を横切ります。

大人の教科書世界史の時間―おもしろさ検定済

大人の教科書世界史の時間―おもしろさ検定済

人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)

人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

*1:ここでは、たくさんある理由の中で一番綺麗な理由を「ウソ」と書いている。

World IPv6 Dayは不便な日

6月8日は、World IPv6 Dayだそうです。
http://recommend.yahoo.co.jp/ipv6day/

Yahoo! JAPANをはじめ、Yahoo! Inc.、GoogleFacebookAkamai、Limelight Networksといったインターネットサービス事業者が、一斉に特定の1日(24時間)に限定して自社ウェブサイトのサービスをIPv6で提供するテストを行います。

このテストの目的はISPやハードウェアベンダー、OSベンダー、ウェブサービス事業者などを含む業界の各団体においてIPv6導入のモチベーションを高め、IPv4アドレス枯渇により今後必然になるといえるIPv6への移行を成功させることです。

「業界の各団体においてIPv6導入のモチベーションを高め」って、、、ユーザにメリットの無いこんなイベントはこっそりやればよいのに、と思うのは私だけか?

しかもユーザデメリットはしっかりある。

※ご注意: World IPv6 Dayの期間中Yahoo! JAPANのトップページを閲覧できない場合があります。

お客様がアクセスする環境(パソコンなど)にはIPアドレスが割り振られていて、(中略)
以下の現象が生じることがあります。
・アクセスできない
・表示されるまでに時間がかかる

業者単独でテストをするとユーザクレームになるので、業界全体で赤信号を渡ろうとしているように感じる。しかも、こんなかっこいいページまで作って、、、
http://recommend.yahoo.co.jp/ipv6day/

IPv6の最大の問題は、ユーザに得がないことなんだよね。

iPhoneの次はあるか?

 Androidの勢いが止まらない。comScore社の発表によれば、米国2011年1月に出荷されたスマートフォンをOS別にみると、1位がAndroid(31.2%)、2位がRIM(30.4%)、3位がiOS(24.7%)であった。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1103/08/news024.html

 Androidが勢いを増したというよりアップルのiPhone(iOS)の勢いが衰えているというべきなのかもしれない。アップルの製品の歴史を振り返ると、音楽プレーヤiPodの投入を皮切りに、iPod touch, iPhone, iPadと製品ラインナップを広げてきた。iPodの頃は、音楽プレーヤiPodiTunesによる音楽ソフト販売というソフト+ハードによるユーザの囲い込みで、アップルは盤石の体制であった。しかし、mp3プレーヤという製品カテゴリが飽和していくなかで、携帯電話と融合したiPhoneを出したころからアップルの戦略にスキができてきた。

 スキの一つ目は、iPhoneの有力アプリがGoogleの検索であり、Google mapであり、Youtube, twitterというように、アップル以外のアプリに頼るようになったこと。これにより、他の携帯電話メーカーもこれらの有力アプリ(Googleアプリ,twitter, etc)を利用するスマートフォンを提供できるようになってしまった。このため、iPhoneの優位性がなくなってしまった。

 スキの二つ目は、アップルがiPhoneではなくiOSという呼び方を始めたことだ。そのため、iOSの対抗軸としてAndroidGoogleに強く主張されてしまった。この点は、技術ではなくマーケティング戦略としての失敗である。Androidは簡単にいえばLinuxなので、技術的に言えばそれほど新しい特徴があるわけではない。しかし、Googleに、iOS vs Androidという構図を作られ、クローズなiOS vs オープンなAndroidというロジックでプロモーションを展開された。これにより、アップル以外の携帯電話機メーカーがAndroidを軸に結集させてしまった。

 この二つのスキが、Androidの躍進とiPhoneの減速の原因となった。これに対するアップルの対抗策は、6月6日のWWDCで発表されるiOS5iCloudとなろう。これらの詳細はまだ分からないが、iOS 5では新しいUIを訴求してくるに違いない。マイクロソフトWindows Vistaの発表において、Windows Aeroを訴求してきたのと同じ構図だ。もうひとつのiCloudはユーザの音楽データをネット上のサーバにアップロードすることで、事実上端末のストレージ容量が無限大にできることを訴求してきそうだ(写真や動画もアップロードできるようになるかもしれないけど、こちらはflickrとぶつかるのでサービスから外すかもしれない)。

 大きな視点で言えば、mp3プレーヤ市場の飽和時期にiPodからiPhoneに移ったアップルが、スマートフォンの飽和時期にiPadを出したがいまひとつ売れていない*1。そのうちiPhoneが売れなくなるのを見越してアップルとしては何かテコ入れが必要で、それはiPhoneの改良ではなく、新しいカテゴリの製品*2の投入である。

 凡人の私が考えれば、6月6日のWWDCでの発表は、単なるクラウドサービスのiCloud(音楽データとビデオデータの配信(VoD))と、このクラウドサービスの対応とUIを強化したiOS 5となりそうで、新しいカテゴリの製品発表とはなりそうにない。しかしながら、うれしい意味で私の予想を裏切る発表をアップルには期待したい。

*1:タブレットPCという製品カテゴリ自身が売れていないので、iPadがパッとしないのはアップルのせいではないんだけど。

*2:iPodからiPhoneに主力商品を移したように

スマートフォンの拡大とビジネスモデルの変化

iPhoneを武器にソフトバンクモバイルが加入者数を伸ばしたことに対抗するために、NTTドコモauAndroidを中心にソフトフォーンの新モデルを続々と投入し始めている。各社がスマートフォンを投入したことで、携帯電話キャリアがまた横並びに戻ったように表面上見える。しかし、スマートフォン携帯電話キャリアの収益に大きなインパクトを与えるように感じる。
例えば、NTTドコモの営業利益率は20%前後で推移しており*1、他の業種の会社から見ると、「儲かってるなぁ」というのが正直な印象だろう。では、何故、携帯電話キャリアはこんなに儲かるのかを考えてみると、i-modeのような情報サービスに秘密がある。i-modeとは、ユーザから見ると携帯電話のインターネットみたいなものだが、実は料金回収代行サービスである。つまり、ユーザが情報サイトから有料サービスを受けると、その代金はNTTドコモがユーザから回収し、情報サイト運営者に支払っている。このため、ユーザが情報サイトから有料サービスを買うと、NTTドコモとしては料金回収の手数料とパケット代の両方が懐に入る。
さて、スマートフォンをユーザが使っている時、アクセスするのはPCと同じサイトである。つまり、スマートフォンで何かを購入するとき、PCの場合と同様クレジットカードの番号を入力する必要がある。この料金決済にNTTドコモは関わることができないので、その手数料を得ることができない。
料金代行サービス以外にも、例えばauLISMOのようにサービス自身を携帯電話キャリアが行っているものもある。これも、iPhoneになれば、ユーザはiTunesで音楽を買うようになり、これまでauに払っていたお金をアップルに払うようになる。
携帯電話キャリアガラパゴスと呼ばれながらも、自分自身が抑えている課金プラットフォームやサービスによって大いに儲けてきた。これがスマートフォンに変わると、ユーザは、amazonやアップルにお金を払うようになり、携帯電話キャリアは収益の柱を失うことになるのだ。
携帯電話キャリアの逆転のチャンスは、androidNFCをサポートしようとしている流れを先導し、NFCによる決済サービスに入り込むことしかない。各社の動向を注視していきたい。

朝日新聞デジタルの先

朝日新聞社が有料ニュースサイト朝日新聞デジタルを開始した。
http://digital.asahi.com/

紙の朝日新聞をWebでも見られるようにしたもので、無料ニュースサイトがたくさんある中で、有料会員を集められるか興味のあるところである。朝日新聞社側は、記者がニュースに軽重をつけていることと、視聴端末(PC or スマートフォン or ,,,)毎に最適化した画面ディスプレイを提供することが朝日新聞デジタルの強みだと主張している。この強みが3800円/月の価格に釣り合うかどうか、ユーザの反応待ちという状態である。

さて、朝日新聞のような一般紙が電子新聞を有料で出す理由は、紙の新聞の収入が減り続けているためである。では、電子新聞の有料化が実現すれば新聞社は生き残るかといえば、どうもそうもいかない気がする。

新聞が作られる工程を乱暴に整理すると、取材・原稿作成・レイアウト作り・印刷・配達となる。インターネットで配信する場合、印刷・配達の部分は価値を持たなくなっている。レイアウト作りは、デザインだけではなく記事の軽重の判断を伴う作業であるが、記事の軽重をつける作業は、Facebookの「いいね」ボタンの成功で分かるように、記者にやらすよりもユーザにやらせた方がうまくいく作業である。また、取材に関しては、新聞社の記者が独自に取材したというよりも、警察や政府や企業の発表を聞きに行っているだけでなので、誰にでも手に入る情報を使っている。では、原稿作成に3800円/月の価値があるかと言えば、例えば、社説程度の文章であればネットでいくらでも無料にある。

このように、有料電子新聞が商売として成立するのは大変難しいと思う。でもそれだけではない、上のような分析をすると、取材の部分に新聞の価値があることに気付く。他の誰も知らない情報をいち早く得ることこそが、無料ニュースサイトとの差別化になり得る。一方、他の新聞社も同じ事を考えるとすれば、取材をするエージェントが立ち上がり、各新聞社に売ることが予想できる。つまり、垂直統合から水平分業への業態変化が起こるのだ。水平分業されたとき、取材という小さな仕事に朝日新聞・読売新聞・毎日新聞の3つも必要だろうか?きっとM&Aによる統合が起こるに違いない。例えば朝日新聞社を吸収合併するのは読売新聞ではなくYahoo/Softbankかもしれない。新聞の電子化というのは、オールドメディア vs ニューメディアの戦いにおけるオールドメディアの変化なのだから。

追記

2011年7月1日

朝日新聞有料電子版が残念なたったひとつの理由」というブログ記事がありました。著者の意見は私と同じで、情報の内容で差別化できていないので、朝日新聞デジタルの先行きは暗いというものです。

発送電分離とは

 今回の福島第一原発の事故を受けて、電力会社の発送電を分離すべしという意見をよく見かける。そこで、発送電分離についてまとめてみる。

発送電分離とは

 まずはたとえ話から、家具で有名なIKEAに行って家具を買う、こんな当たり前のことを考えてほしい。店舗を運営するのはIKEAでそこで売っている家具のデザインや製造もIKEAが行っている。家具の品質が悪いとき、クレームはIKEAに言えば良い。簡単である。一方、もしIKEAFranc Francの製品が売っていたら、Franc FrancIKEAの製品を比較して買えるので便利だろうし、競争によって品物が安くなるのでユーザとしては嬉しいだろう。しかし、買った製品が壊れたとき、その文句を言う相手はIKEAだろうか?それともFranc Francだろうか?ちょっと難しい。
 発送電分離とは、発電所を建てて運営する発電会社と、発電所から電気を買ってユーザに売る送電会社(ユーザの家まで電気を送るのが仕事の会社、例えば電力の小売業者と考えると分かりやすいでしょう。)に分けようという話である。今の日本では、東京電力にしろ中部電力関西電力にしろ全てが発電から送電まで一つの会社が行っている。いわば垂直統合の業態である。これを水平分業にしようというのが発送電分離である。
 なぜ発送電分離が必要だといま声高に言われているかというと、

の3つのパターンがあるように思える。一つ目と二つ目の理由は置いといて、気になるのは発送電分離のメリットとは何かである。

発送電分離のメリットとは

 発送電分離のメリットは、ずばり電気代が安くなる可能性があることだ。発送電を分離すると、発電を行う新たな会社が生まれ、発電会社同士が競争するので電気料金が安くなることが期待できる。特に、風力発電太陽光発電のような自然エネルギーで発電を行う発電会社が出現すれば、エコだし、電気代もやすくなるしで、いいことばかりである。
 蛇足であるが、あらたな送電会社が出現して、送電でも競争が起きてもよさそうだが、送電には工夫の余地が少ない(差別化が難しい)上に、とてつもなく大きな初期コストが必要なので、送電会社に競争相手が出るとは考えづらいようだ。

発送電分離のデメリットとは

 メリットがあるところには、必ずデメリットがある。発送電分離のデメリットは、ずばり停電が増えることである。発電会社は、余剰能力を持つとそれがコストとなるため、競争上不利である。そのため、なるべくギリギリの稼動状態(例えば発電能力の98%を常に発電している状態)を維持したいと考える。これは、トヨタカンバン方式により在庫を極限まで減らすことで、高い収益率を維持しているのと同じことだ。一方、プリウスの需要が急に高まると、生産がその需要に対応できずに、納車が3ヶ月待ちになる。つまり、需要変動に弱くなるのだ。電力では夏場に電力需要増加するが、これに対応したいと考える電力会社はいないであろう。夏場の需要にあわせて発電設備を持つと、電力需要の落ちる春や秋には発電設備が遊ぶためだ。そこで、需要が増加すると納車待ちならぬ停電が発生する。

アメリカで起きたこと

 何事も過去から学ぶのは大事である。そこで、発送電分離の行われているアメリカで起こったことを見てみよう。

  • 電気料金が下がった。下がる幅は5%程*1
  • 大停電が起こった(カリフォルニア大停電:2000年にカリフォルニアで停電が頻発した(災害で電力インフラが被害をうけた訳ではなく、普通に電力需要に発電能力が足らなかった。)

 ここで、エンロンのエピソードが興味深いので、紹介しておく。エンロンアメリカの発電会社で金融取引での失敗で破綻した会社である。このエンロンは、カリフォルニア州の電力が不足した際、電力価格を吊り上げるために電気の供給を止めたのだ。OPEC参加国が原油の値段を吊り上げるために、産出量の調整をするのと同じと言えば同じことをしたのだ。これは、自由競争に任せるとたまにとんでもないことが起こるという例である。

メリットとデメリットをコントロールするもの

 このように発送電分離には、電気代が下がるというメリットと、停電が増えるというデメリットが存在する。デメリットを許容範囲に押さえ、メリットを最大化するために重要なのが、制度設計、つまり法律である。
 例えば、発電会社が用意すべき余剰発電能力や、事故率の基準が法律で定められることになろう。そうすると、発電会社の参入障壁がぐっと上がってしまい、電気代が下がるというメリットも目減りすることになる。
 このようにどんな制度だと発送電分離がうまくいくか、ここが一番難しいのだが、この点の議論をしている人は少ないように思う。

まとめ

 発送電分離とは、電気業界を垂直統合から水平分業に移行するものである。これにより、電気の価格が下がり停電が増える可能性がある。発送電分離のメリットを最大限に引き出すためには、緻密な制度設計(法律)が必要である(緻密な制度設計があっても発送電分離が日本でうまくいく保証はないが)*2

スマートグリッド (電気新聞ブックス―エネルギー新書)

スマートグリッド (電気新聞ブックス―エネルギー新書)

*1:http://www.caa.go.jp/seikatsu/koukyou/data/sankoshiryo1-170307.pdf

*2:政治家の方々には、未来の姿とそれを実現する仕組みの検討なしに発送電分離に踏み出すことのないようしてもらいたいものだ。

震災が与えるスマートグリッドへの影響

 2009年1月20日バラク・オバマが第44代米国大統領に就任した。彼が打ち出したいわゆるグリーンニューディール政策をきっかけに、スマートグリッドに関する技術検討が活発に行っている。このスマートグリッド技術開発の方向性に、今回の東日本大震災が大きく影響を与える可能性がある。これについて推測を含めて考察してみる。

スマートグリッドとは何か?

  実は国によってスマートグリッド開発の目的が異なる。欧州は温暖化ガス(二酸化炭素)削減のため自然エネルギー(風力、太陽光)の活用を主に目指しており、米国は貧弱な電力網をIT技術により有効活用することを目指している*1。日本は、欧州と米国へ製品を売るために、自然エネルギー活用と電力網のIT技術による活用の両方に向けて技術開発を行っている*2

  

震災で学んだことと、その影響

  今回の震災で学んだことは大きく二つある。原子力発電所の危険性と、停電の怖さである。
 近年は、原子力発電所は安全であると思われていたが、観測史上最大の地震の前には危険であることが分かった。これは、"SAFEWARE"に記されているとおり、「レアな事故に対する危険性は過小評価される」ということだろう。
 最近、オール電化住宅の人気が高まっていたが、今回の震災をきっかけに停電に対する脆弱性が議論されている。

原子力発電の是非について

  まずは、原子力発電の危険性について考えてみる。ここ1、2年の世界の政策動向として、地球温暖化対策のため火力発電から原子力発電が推進されている。今回の福島原発の事故はこの原子力発電推進政策にストップをかける。ここで問題なのは、地球温暖化を防止のため、原子力をやめて火力発電に戻すことができないことである。また、原子力発電をやめると、社会に供給できる電気量が増やせないため、電気自動車の実現も危うくなる。温暖化ガス削減の有力手段の一つである電気自動車を実現するには、これまでガソリンのエネルギーで動いていた自動車を電気で動かす分の電力量が新たに必要となる。この電力をどこから調達するか、検討が必要である。

停電対策としての自然エネルギー

 今回の震災では大規模に停電が発生した。今の機器は、例えガス給湯器や石油ストーブであっても、停電時には使えないものが多い。停電時に太陽電池パネルが屋根に乗っていると、昼間は結構電力を賄えるようである。このように、自家発電の手段として自然エネルギーを活用できることが実証されている。一方、欧米では、風力発電や太陽熱発電*3のように大規模な施設で自然エネルギーを電気に変換する手法が主に検討されている*4。このような発電形態では、停電対策としてはうまく活用できない可能性がある。別の言い方をすると、分散電源のアーキテクチャを考える際に、停電対策を考慮にいれる方向で検討が進む可能性がある。

まとめ

  今後、原子力発電を進めるのか、止めるのか、大いに議論されるであろう。原子力発電を止める場合、地球温暖化を防止する検討が必要となる。特に、電気自動車の実現が危うくなることを考慮すべきである。

  自然エネルギーに代表される分散電源は、停電対策として有効である。分散電源のアーキテクチャを検討する際に、対障害性(停電対策)も考慮した検討を行うべきである。

追記
セーフウエアについて読書メモを書いてみました。
http://d.hatena.ne.jp/kota2009/20110401/1301605595

セーフウェア~安全・安心なシステムとソフトウェアを目指して (IT Architects' Archive)

セーフウェア~安全・安心なシステムとソフトウェアを目指して (IT Architects' Archive)

スマートグリッド (電気新聞ブックス―エネルギー新書)

スマートグリッド (電気新聞ブックス―エネルギー新書)

*1:米国の電力送配電網は脆弱で、しばしば停電する。

*2:詳しくは、http://d.hatena.ne.jp/kota2009/20091027/1256597390

*3:太陽光発電ではないことに注意。

*4:発電効率の点で有利なため。

IPv6アドレス移行問題の本質

 IPv4アドレスが無くなった*1

 さて、今後どうなるかというと、IPv6推進者はIPv6が普及すると言うけれど、なかなかこれは難しい。今日はその難しさの真因について書いてみたい。

インターネットの構成

まず、基本的なことから書く。インターネットは簡単には、ネットワークを構築しているISP*2と、サーバにてサービスを提供しているASP*3と、ユーザから出来ている。

IPv6アドレス移行問題の難しさ

 現在殆どのユーザはIPv4アドレスを使っているので、殆どのASPIPv4アドレスでサーバを運用している。IPv4アドレスが無くなってくると、ISPはユーザに割り当てるIPv4アドレスが足りなくなるので、とても困る。しかし、ISPIPv6アドレスをユーザに割り当てることは出来ないのだ。
 もしISPがユーザにIpv6アドレスを割り当てると*4、ユーザは殆どのASPのサービスを利用できなくなる。このため、IPv6ISPはユーザに割り当てることができないのだ。そうなるとISPIPv6ではなく、CGNと呼ばれる巨大なNATで問題を解決しようとする。そうすると、ASPはIPv6でサーバを運用する理由がますますなくなるので、ISPはユーザにIPv6アドレスを割り当てることがますますできなくなる。

まとめ

 このようにIpv6アドレスへの移行問題とは、技術的な問題ではなく、経済的な問題であるため解決が難しいのである。

*1:よくIPv4アドレスが「枯渇」したというけれど、英語の”starve” を直訳するから「枯渇」という表現が使われる。

*2:例えば、NTT OCN

*3:例えば、Yahoo

*4:IPv4アドレスを割り当てないと

IPTVは実現するか?

 TVは生活に無くてはならないものだと思いますが、TV業界はいま変革期を向けている。その変革を促しているのはインターネットである。

TV業界を考えることは何故重要か?

 普段無料で見ているTVですが、TV業界は広告費によってなりたっています。その業界規模は2.8兆円と結構大きいのです。そして世界的にはTVは40億人が見る巨大なメディアなのである。この巨大さゆえにGoogleはGoogleTVをぶち上げたのである。以下は、Google I/O 2010でのRishi Chandraの言葉である。

TV市場の現状の説明から始まる。TV市場がいかに大きいかアピールしている。彼は、誰だって皆テレビが大好きだと語る。米国ではテレビは未だに一日当り5時間は視聴されているという。テレビ市場は年間で700億ドル稼いでおり、今でも強力なメディアの一つだと主張。しかも、全世界規模では40億の人々がテレビを見ている。これほど大きな市場を持つ端末は他にはないと指摘。

インターネットがTV業界に与える衝撃は何故大きいのか?

 TV放送業界というのは、実は保護産業である。総務省から電波を割り当てられた放送局のみがTV放送を行うことができ、新規参入業者のない業界のである。一般企業の払う広告費はTV局に集中し、TV局はその集まった資金で下請けの番組制作会社をつかってTV番組を作って流している。そのTV番組に関する権利はTV局が握っており、他局に流れることはない。
 このように政府に保護されたTV局がTV業界を支配している。このような既得権者にとって、インターネットでTVコンテンツ(動画コンテンツ)を配信は、まさに業界支配の構図を一変させる威力をもつ。

インターネットはどこまでTVに食い込んでいるか?

 私が注目しているのは米国のNetFlix社である。彼らは元はレンタルDVDの会社であったが、レンタルDVDを郵送するサービスを始め、次にDVDのコンテンツをインターネットで配信するサービスへと、業態をシフトさせている。このように少しずつ業態をシフトさせることで、(1)既存のユーザを新しい業態へ誘導できる、(2)既得権者の反発を和らげることができている。
 先日、このNetFlixの業績が発表された。

 第4四半期の利益は前年同期比で52%の増加、売上高は同34%の成長となった。

Freeサービスが大流行のインターネットサービスにおいて、NetFlixは着実に利益を上げ、そして利益を伸ばしているのだ。利益が出ていれば投資も集めやすく、さらに規模を拡大できる。インターネットサービスにおいてはいかに規模を集めるかが勝負の分かれ目であるため、NetFlixがクリティカルマスを超えれば、安定した企業運営が可能となるだろう。
 そして、NetFlixが成功すれば、それが先例となり同種のサービスが世界で立ち上がるだろう。
 もちろんTV業界の既得権者はインターネットサービスの不足な点を主張するだろう。しかし、この構図はクリステンセンの「イノベーションのジレンマ」を思い出させる。ユーザが欲するものを提供するものが、最後は生き残るのである。

WiFiDirect.com

 2009年よりWiFi Directに注目している。http://d.hatena.ne.jp/kota2009/20091018/1255867006

 定期的に調べているのだが、WiFi Direct*1ユースケースAd hocモードと同じだということは分かるのだけど、その技術内容が分からない(無料では公開されていない)。WiFi DirectはWiFi ad hocモードとは何か違うようなのだが、詳細ははっきりしない。

 そんな中、WiFiDirect.comというサイトが立ち上がった。”about WiFiDirect.com”のページを読むと、

Our website will allow you to learn about the pros and cons of Wi-Fi Direct technology in a fair and balanced approach and how this new technology will affect consumers and the computer industry at large. WiFiDirect.com is a non-commercial website, free of all advertising and presents its material without any monetary gain. Our sole purpose is to provide the world with a forum free of all advertising to frankly speak on how Wi-Fi Direct technology will benefit or detract from peoples lives.

このように期待させる内容である。内容はまだ大したことは書いていないが、今後期待したい。

*1:WiFi Directは認証プログラムの名前で技術名ではないだろうという突っ込みはおいといて。

OESF:Androidの拡張機能の開発団体がロードマップを公開

Open Embedded Software Foundation(OESF)をご存知でしょうか?
Androidの拡張を行っている団体です。
http://www.oesf.jp/

AndroidLinuxをベースに携帯電話向けの機能強化をしたものですが、OESFはAndroidをベースにタブレットPC・車載機器・セットトップボックスなどの携帯電話以外の機器への拡張を行っています。

OESFは11月30日に、「Embedded Master 3(EM3*1、コード名:Dorian)」のロードマップを発表しました。これによると2011年1月にOESF内でEM3を公開し、2011年3月にEM3の一般公開を行うそうです。

楽しみに一般公開を待ちましょう。

*1:乱暴に言えば、Linuxディストリビューションのようなものです。

RedpineがWiFi Directの認証を取得

 また、新しい無線LANチップがWiFi Directの認証を取得しました。
RedpineのWi-Fiチップセット、Wi-Fi Direct規格の認定を取得

 概してチップメーカというものは新しい規格の採用には積極的なものですが、最近の無線LANチップメーカの動向を見ていると、今後ほぼ全ての無線LANチップがWiFi Directの認証を取るものと考えて良さそうです。

 一方、WiFi Directが普及するかどうかは、今後魅力的なユースケースが存在するかというのが課題になります。WiFi Directのユースケースは、BluetoothZigbeeと重なるため、今後これらの市場動向が気になります((WiFiBluetoothZigbeeで消費電力が大きい小さいの話をする人がいますが、通信チップの仕様を見ると似たり寄ったりなものです(コンフィグレーション次第)。)。

電子書籍の行方

 近所にブックオフができたので、さっそく店内を覗きにいってきました。そこでふと書籍の電子化が進むと古本屋というのはどうなるんだろう?と疑問が浮かびました。そこで、電子書籍に関する状況をまとめ、今後を想像してみました。

時代の流れ

 温故知新ということで、まずは音楽の電子化がどう進んだのか振り返ってみましょう。

 昔、音楽をレコードで聞いていた時代がありました。LPレコードというのは直径30センチもあり、大変かさばるものでした。また、アナログ記録であったため、聞くたびに音が劣化する、ランダムアクセスできないという欠点があります。1980年代に入るとコンパクトディスク(CD)が登場し、場所をとらない、音が劣化しない、ランダムアクセスできる、という長所のため、瞬く間にレコードはCDに駆逐されていきました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89#LP.E3.83.AC.E3.82.B3.E3.83.BC.E3.83.89

 CDが出現した当時のレコード派の人々の主張は、「場所をとるというのは、一部屋がレコードで埋まるくらいにたくさん持ってる人間が言うセリフである」、「アナログの音が自然で美しい」、「アルバムは最初から最後まで収録順序通りに聞くのが、アーティストに対する礼儀である」というものでした。しかし、その主張も空しくレコードは駆逐されていきました。 

 そして、現代では次のステージに進んでいて、いまや音楽はiPodや携帯電話で聞くものであり、音楽の流通はCDからネットに移行しています*1

 音楽の電子化の歴史を振り返り、電子化の利点をまとめれば、(1)場所をとらない、(2)劣化しない、(3)ランダムアクセス可能(検索ができる)と言えそうです。この利点ゆえに書籍も電子化が進むと言えそうです*2

業界の構造

 つぎに、音楽業界と出版業界の構造を比較してみましょう*3。音楽業界は、

  • 楽家(音楽を作る人・演奏する人)
  • レコード会社(音楽のコピーを作る人)
  • レコード屋(音楽を流通させる人)
  • ユーザ(音楽にお金を払う人)
  • 端末メーカ(音楽プレーヤーを製造販売する人)

このような構造になっていて、ユーザが支払ったお金を、音楽家・レコード会社・レコード屋で分配しています。そして、レコードからCDへという音楽の電子化(ディジタル化)が特に混乱無く行われたのは、このお金の分配システムが変化しなかったためです。つまり、既得権者の利益を損なわない形でCDがデザインされていたのです*4*5。そして、半導体の進歩により、音楽データを圧縮して携帯機器で聞くことが簡単に出来るようになったこととインターネットの普及が音楽のオンライン配信を普及させ、CDを駆逐しようとしています。

 では、出版業界の構造を見てみると、

  • 作家(本を書く人)
  • 出版社(本のコピーを作る人)
  • 本屋(本を流通させる人)
  • ユーザ(本にお金を払う人)

このような構造になっている。音楽と似た構造であるが、大きく異なるのは、本を読むための機器が従来は存在せず、そのため電子書籍を立ち上げるためには電子書籍端末も立ち上げなければならないことである。これが問題で、電子書籍端末がユーザに受け入れられるのか業界全体で疑心暗鬼であることと、そのスペックをどうすればよいのかも不明である*6。さらに、電子書籍が実現すると本屋さんという既得権者が大打撃を受けるのが目に見えている。まとめると、電子書籍化を進めるドライブフォースは、音楽の場合と同じ3つの利点((1)場所をとらない、(2)劣化しない、(3)ランダムアクセス可能(検索ができる))である。一方、阻害要因は、(1)本屋さんがうける打撃をどう和らげるか、(2)著作権管理の仕組みをいかに導入するかあるいは導入しないかのコンセンサス作り、である。著作権管理の仕組みは、利益分配の仕組みと直結するため、話が進まない可能性が大いにある。

古本屋の行方

 音楽の場合、中古CDの市場はどんどん縮小している。これは新規CDの売り上げが減っていることからも分かる。では、書籍が電子化した場合の中古市場はどうなるだろうか?
 私は、書籍の場合も中古市場は衰退すると考えている。その理由は、現在は出版業界自身が縮小しており、このままでは成り行かないとの出版業界の危機感がドライブフォースになると考えているためだ。中古市場が衰退しないシナリオは、書籍の著作権管理が厳密に行われ、紙メディアが電子メディアになるだけで、流通の構造に変化が起こらない場合である。この場合は、書籍市場自身が活性化はせず、現状維持である*7
 中古市場が衰退するとしたら、その中で生き残っていくのは、現在のブックオフのような一般書を扱う古本屋ではなく、専門性を持った本を扱うようなニッチを狙った古本屋であると思う。たとえば、以下の古本屋サイトは可能性があると思う。

http://youbooks.petit.cc/

*1:CDの売上枚数は右肩下がりである

*2:正確には、書籍の電子化のドライブフォースがこの3つの利点である、ということです。

*3:私は特別業界に詳しいわけではないので、間違いがあれば指摘してください。

*4:CDの開発は、主に端末メーカによって行われました。

*5:CD開発当時はまだWindowsもなく、MP3のように音楽を圧縮するなんてことはとても現実的ではありませんでした。

*6:たとえば、サイズひとつにしても、雑誌サイズの端末が必要なのか、文庫本サイズが良いのか不明である。

*7:既得権者はそれで良いと思うかもしれないが。。