kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



集中すること

 「考えない練習」と「スローライフでいこう」、この2冊を読み返した。この2冊は、続けて読むとお互いの内容が良くわかる。
 「考えない練習」では、心というものが同じことを何度も繰り返して考えたり、外界からの刺激を無意識に解釈して、快・不快といった感情を無意識に引き出すことを述べている。「無意識」のうちに「感情を引き出す」ことがポイントである。心理学でいう所の自動思考というやつだ。この自動思考を止めるために、自分の心の動きを見つめる練習をこの本は勧めている。
 一方「スローライフでいこう」では、一度に一つにだけ心を集中することを勧めている。TVを見ながら食事をする、人の話をうわの空で聞く、といったことをやめるべきだと言っている。
 この二つの本は、心を一つのことに集中させることを勧めるという点で共通しており、その利点や、練習の方法についての記述は異なっている。しかし、その内容は矛盾しているわけではなく、同じことを異なる切り口で述べているだけである。
 実際に、「考えない練習」に従い練習すると、自分の心が今目の前にしていることから離れる瞬間が分かるようになる。その上で「スローライフでいこう」に従い、誰かと話をするときにその人の話に集中しようとすると、不意に心が会話とは異なることを考えていることに気づく。人の話は集中して聞きましょうとはよく言われる話だが、自分の心の気の散り方にビックリする。できてるつもりが一番怖いということを実感しました。

考えない練習 (小学館文庫)

考えない練習 (小学館文庫)

スローライフでいこう―ゆったり暮らす8つの方法 (ハヤカワ文庫NF)

スローライフでいこう―ゆったり暮らす8つの方法 (ハヤカワ文庫NF)

成功事例から学ぶべきこと

 他人の成功話から、自分の成功のヒントを得ようとする人は多い。ところが、成功事例から学ぶべきことが案外わかっていないんじゃないかなと思うことが良くある。典型的なダメな例は、成功事例の真似をしようとする人。おいおい、成功事例から学ぶべきはそこじゃないだろうって思うのだけど、耳を貸そうとはしない。そこで、成功事例から学ぶべきものについて整理しようと思う。
 例えば、「鴻海も投資 しぼむデジカメ市場の「革命児」、大ヒットの秘密 」(日経新聞)は、成功事例を紹介している典型で、記事の書き出しは以下だ。

 ここ数年、急速な勢いで市場が縮小しているコンパクト型のデジタルカメラ。この厳しい環境下で、発売から約3年で300万台以上を出荷した大ヒット商品がある。米国シリコンバレーベンチャー企業が開発した、「GoPro」シリーズだ。大手カメラメーカーが苦境に陥るなか、GoProはなぜ元気なのか。その秘密に迫った

なんだか、この秘密を教えてもらえると、自分も成功しそうな気がするでしょ?こその秘密というのは、

 Woodman Labsの創業者はサーフィンが趣味(図3)。自分の技術を自慢したいというキッカケでGoProを開発した。「それまでは、自分の活動を写真や動画に残す手段がなかった。GoProユーザーは、自分の生活をキャプチャーしたいんだよ」と、Shaikh氏は話す。実際の利用シーンに合わせたユーザー体験を高めるデザインが、ヒットの秘訣だったというわけだ。

 これを読んだ人が、「自分の必要とするものを作ればいいんだ!」みたいに考えたなら、ほぼ確実に失敗する。それは、GoProを開発したWoodman Labsの創業者が成功したのは、偶然だからだ。偶然という言葉は強すぎるかもしれないけど、彼と同じアプローチをとって失敗した人は取材されていないことに注意が必要だ。彼の背後には多くの屍が転がっているはずだ。
 GoProと同じ構図の成功事例報告にスターバックスのビジョンが大切という話がある。これもビジョンを持ってサービス業に挑んだ例は非常に多くあり、そのなかでスターバックスがたまたま成功したということだ。全ての成功事例が有する特性で、かつすべての失敗事例が有さない特性があれば、それを成功の秘訣と呼んで良いが、そんなものは無い。
 成功事例から学べること、例えばGoProの場合、GoProの成功を見て類似製品を様々な会社が出してくること。これは、アップルのiPhoneが成功したのを見ると、サムスンなどが類似製品(スマートフォン)を出してきたのと同じだ。そして、GoProは段々輝きを失ってきている(iPhoneサムスンスマホに負けてきているのと同じ)。つまり、成功した後、キャッチアッパーが現れて必ず追いつこうとすることは学んだ方が良い。キャッチアッパ―に追いつかれないためには、QBハウスの場所の利、GoogleのPCの大量発注によるコストダウン、など当たり前の仕組みに持ち込む必要がある。これも成功事例から学ぶべきことだ。

ビジネスモデルの整理

 ネットで起業しようとしたとき、重要なのは(1)ユーザにどんな価値を提供するか、(2)どうマネタイズするのかという2点でしょう。ユーザに提供する価値は様々なものがあると思うのですが、案外選択肢が少ないのがマネタイズの方法でしょう。
 このエントリでは、マネタイズの方法をまとめてみます。

広告収入

 アクセスの多いサイトを立ち上げ、そのサイトに広告を表示することで、広告収入を得るという方法です。Google Adsenseを使うのが一番簡単でしょう。例えばPublickkeyもこのモデルです。このモデルでは、収入が単純にアクセス数によって決まるため、どうやってアクセス数を増やすのかと点がむずかしさになります。

会員費

 とりあえずサイトのアクセスが増えたら、会費を払っているユーザにだけ、ある特定のサービスを提供するというパターンです。Flickrのようにアップロード数が無制限になるとか、Skypeのように携帯電話に電話で切るというようなのが例です。

まとめ

 ITサービスのビジネスモデルって、実は二つしかありません。大切なのは、無料の会員をどう低コストで(すなわち高効率て)さばくかっていう、コストの問題になります。
 つまり、アクセス数を稼ぐサービスの特徴と、そのアクセスを低コストで砂漠仕組みとの二つが必要だということです。

伝え方が9割: それは相手を想像する力

 「伝え方が9割」(佐々木圭一)は、相手のことを想像する力を育む本である。
  誰かにお願いをするとき、次の3つのステップで考えるというのは常識。

ステップ1 自分の頭の中をそのままコトバにしない
ステップ2 相手の頭の中を想像する
ステップ3 相手のメリットと一致するお願いをつくる

 そんな常識的なことが中々できない。それは、ステップ2の相手の頭の中を想像することが非常に難しいため、ステップ3の相手のメリットと一致するお願いを作れないからだ。この本が他の説得術の本と比べ優れているのは、この相手の頭の中を想像する手法を解説していることだ。
 相手の頭の中を想像せよ、と言われてもどうしていいのか分からないだろう。そこで、次の切り口から相手の頭の中を想像することを教えている。

  • 切り口1「相手の好きなこと」
  • 切り口2「嫌いなこと回避」
  • 切り口3「選択の自由」(2つ以上の相手の好きなことを並べることで、相手が選べるようにする。選択の自由があること自体が、相手にとってのメリット)
  • 切り口4「認められたい欲」(「残業お願いできる?」→あなたのメリットでしかない。「きみの企画書が刺さるんだよ。お願いできない?」→認めているコトバから始まっていることで、面倒くさいこともやってみようとする気持ちが生まれる。)
  • 切り口5「あなた限定」(「自治会のミーティングに来てください」→あなたのメリットでしかない。「他の人が来なくても、斉藤さんだけは来てほしいんです」→その人の名前を使い「私こそが必要と思ってくれている」と思わせ、心を満たすことで相手のメリットに変える。)
  • 切り口6「チームワーク化」 (お願いを相手任せにするのではなく、「いっしょにやりましょう」とあなたと相手をチームワーク化する)
  • 切り口7「感謝」(「領収書をおとしてください」→あなたのメリットでしかない。「いつもありがとうございます。領収書お願いできますか」→感謝から入る)

 強い言葉を作る方法も教えている。

  • サプライズ → そうだ京都に行こう
  • ギャップ → 事件は会議室で起きているんじゃない。私の勝利ではない。
  • 体の反応 → のどがカラカラ
  • リピート → さいたさいた
  • クライマックス → これだけは言いたかった。

 これらの一つ一つはどこかで見たことがあるものだが、これをチェックリストとしてリスト化している人が何人いるだろうか。このリストを記していることが本書の優れている点である。

伝え方が9割

伝え方が9割

  • 作者:佐々木 圭一
  • 発売日: 2013/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

就職活動のコツ:エントリシートの書き方

 訳あって、学生さんのエントリシート(カルビー)を添削することになりました。カルビーのエントリシートは、以下の設問になっています。

■設問1
カルビーに入社して、チャレンジしたい仕事、
実現したいことをお聞かせください。


■設問2
あなたらしさが伝わる写真を1枚添付してください。
また、この写真があなたらしい理由を、 あなたが大切にしていることや
大事にしている考えを交えてお聞かせください。


■設問3
あなたが将来こうなりたいと目指している人物像を教えてください。
また、その人物像に近づく為に、今、どんなチャレンジをしているか
具体的にお聞かせください。


■設問4
あなたが学生時代に最も打ちこんだこと、
頑張ったことをお聞かせください。

 面白いのは、カルビーという会社を知らなくても、この設問を埋めることができることです。その一方で、応募者のことがよく会社側に伝わる設問です。カルビーの担当者はよく設問を考えているなぁと感心します。

 中でも一番面白いのは、設問2です。
 普通は、「あなたのアピールポイントはなんですか?」という質問があるのですが、カルビーは、「あなたらしさが伝わる写真を1枚添付してください」と問うています。これは、カルビーの優しさというか配慮でしょうね。学生が自分探しの方法が分からず悩まないように、ヒントを出しているのだと思います。。

 この設問に答える手順としては、

  1. 学生は、自分が一番良い顔をしている写真を探す
  2. それが何故か自問する

この手順を踏むことで、自分探しができるようになっています。ですから、学生の皆さんは、素直に写真を探しながら一番印象深いシーンを選べばよいでしょう。

 設問3と設問4も、設問2を考える中で書けるようになっています。ずるいテクニックですが、設問2で選ぶ写真を学生時代のものにしておくと、エントリシートに書く内容に一貫性が出て良いです。

 最後に設問1ですが、案外答えづらい質問だと思います。答えづらい理由は、学生の皆さんには、会社での仕事の内容がよくわからないためです。そこで、エントリシートを書く前に、その会社あるいは同業社に勤める知り合いに、会社内にどんな仕事があるか聞きましょう。聞いている中で、いいなっと思うものを、設問1で回答すると良いです。

目つき・顔つき・態度を学べ、キャラ作りはスキルだ

 「目つき・顔つき・態度を学べ (マジビジ (8))」は、ビジネススキルを完結にまとめた”マジビジ”シリーズの一冊である。リア充の人は、必ず良い雰囲気を身につけている。そういったキャラを天性のものと思っていたが、”マジビジ”シリーズが書くからには、練習すれば身につくスキルとして、キャラづくりが書かれているに違いないと思い、本書を読んだ。

3つのスマイルを使いこなせ

 いつもニコニコしている人っている。あれって不思議だ。私が笑顔を心がけると、表情のメリハリが無くなる。そして、そのメリハリのなさに不自然さを自覚して、笑顔をつくることをやめてしまう。
 そうなるのは、私には笑顔が一つしかないからだと、この本を読んでわかった。ミニマムラインとしての微笑、相手の言葉を受け止める笑い、ここぞというときの大笑、というように笑いが3種類あれば、笑顔を心がけて他人に接してもうまく表情を出すことができる。

嫌われるしぐさをチェックせよ

 スキル獲得の基本は、PDCAサイクルだ。NGなしぐさを知るところから、このPDCAを回すことができる。相手に退屈メッセージ(腕組みをする等)やストレスメッセージ(首の後ろを触る等)出していないかなど、嫌われるしぐさを意識しよう。

しぐさを真似して仲間になれ

 相手のしぐさをまねるのは、ミラーリングと呼ばれ、用語があるくらい良く知られているテクニックだ。ミラーリングで忘れがちなのは、”相手がほほ笑んだら、自分もほほ笑む”という笑顔のミラーリングだ。相手が笑ってくれると、つい嬉しくってしゃべることに夢中になってしまうが、そこをグッと我慢してまずは笑顔を返す。これだけのことだったらできる筈だ。

最後に

 他人に良い印象を与えるのは、スキルつまり学習できる技だ。技の習得には、PDCAサイクルが有効であり、PDCAを回すためには知識が必要だ。本書は、相手へ好印象を与えるためのスキルを簡潔にまとめている。キャラ改造を考えている人におすすめである。

目つき・顔つき・態度を学べ (マジビジ (8))

目つき・顔つき・態度を学べ (マジビジ (8))

詭弁には、そのまま返しが有効

大阪市長の橋下さんのtwitterを見ていて、詭弁を仕掛けられたところを見事に反論しているものを見つけました。是非見習いたいと思いました。

毎日新聞は僕に生徒の話を全部聞けと言うのか。それでは組織は誰が指揮するのか。その理屈だと毎日新聞は発行する度に、社長が全部取材に行かなければならなくなる。記者とデスク、編集長、経営者は違うはず。僕は組織から上がってくるありとあらゆる情報を基に判断をする。必要な場合には現場に出向く

ここでそのまま入学を認めることこそ、受験生のためにはなりません。 - 2013年01月23日(水)のツイート

 毎日新聞が橋下市長に正確にはなんと言ったのか不明ですが、おそらく「生徒の声を十分聞くべきだ」と批判したのだと思います。この批判のずるいところは、橋下市長がどれだけ生徒の声を聞いたとしても、「十分でない」と反論できることです。この点で毎日新聞の主張は詭弁だと言えるでしょう。

 そこで、橋下市長は、「生徒の声を十分聞いた」かどうかを論点とせず、「情報は十分集めた」と答えた上で、「毎日新聞の社長は全ての現場にでているのか?」と毎日新聞の詭弁のロジックを拡大して相手に問い返しています。この問い返しの秀逸なところは、もともと詭弁であるためやり返された方は答えることが非常に難しいことと、自身のロジックであるため「それは詭弁だ」と言い逃れができない点です。

詭弁にはそのまま返しが効きます。

詭弁論理学 (中公新書 (448))

詭弁論理学 (中公新書 (448))

レトリックと詭弁 禁断の議論術講座 (ちくま文庫 こ 37-1)

レトリックと詭弁 禁断の議論術講座 (ちくま文庫 こ 37-1)

マーケッティングを鵜呑みにしないって、自己啓発本に書いてあったじゃん

 いくら読んでも役に立たない本の代表が自己啓発本だろう。書いてあることは正しいのだけど、実行困難だから。
 自己啓発本によくある教えの一つは、「他人の意見や統計を鵜呑みにしてはいけない。自分の肌感覚を大切にせよ」。ごもっともである。しかしながら、google, twitter, facebookと情報のシャワーを浴びている我が身にとって、他人の意見でないものはどれだろう?と考えることもある。
 出版不況だとかで、本や雑誌が売れなくなってきている(らしい)。インターネットの出現でだれもが情報にアクセスできるのが原因である(らしい)。だとすれば、紙の雑誌は今後消えていくだろう、インターネットは今後も発展する(らしい)のだから。どこかのコンビニの店長が雑誌の売れ行きについて語っていた*1

すべての雑誌が売れなくなっているわけではない、ということです。小悪魔アゲハなんかが代表ですけど、的を絞りきった雑誌については伸長の余地はかなりある感じですね。

えぇっ、小悪魔アゲハは売れているんですか? というか小悪魔アゲハってなんですか?そこでさっそくwikipediaで調べてみました(知りたい方はwikipedia:小悪魔アゲハをを見てください)。えっと、もうwikipedia先生に聞いている時点で肌感覚から遠ざかっているわけで、そんなんじゃなくて小悪魔アゲハをコンビニに買いに行けよと自己啓発本に叱られそうです。しかし、小悪魔アゲハは私の肌感覚の外です絶対に。
 私は、電子書籍の動向を注視しているつもりなのですが、例のコンビニ店長さんの意見によれば小悪魔アゲハは、電子書籍化されないのかもしれません。他にも私の肌感覚にないものがたくさんあるんだろうなと思います。それでも、そんななかで自分の意見を紡いでいかねばなりません。どうやら自己啓発本の言ううとおりにできそうにありません。

リーダーを目指す人の心得

 著者のwikipedia:コリン・パウエルは、ブッシュ政権国務長官として覚えている人も多いことでしょう。

軍人としての最終階級は陸軍大将。政治家としての最高位はブッシュ政権第1期目の国務長官。軍人として輝いた栄誉には国防総省最高殊勲章、陸軍最高殊勲章、国防省第1等殊勲章、青銅章、多数の名誉負傷章、軍人殊勲章、勇猛戦士章、国防長官賞などがある。また、市民としては2度の大統領自由勲章、大統領国民栄誉賞連邦議会栄誉賞、国務長官栄誉賞などがある。また日本国から勲一等旭日大綬章を受勲し、イギリス女王からバス勲章ナイト・コマンダー(KCB)に叙されている。

 経営者によって書かれたリーダー指南本は本屋に溢れているが、元国務長官の書いたリーダー論という点で、この本はユニークである。本章では、よくある儲けるために部下をどう動かすかではなく、もっと大きな視点で部下とどう接するかが記されている。

 新しい組織に着任したら、信じてはならない確たる証拠がないかぎり、まずは、そこにいる人を信じるべきだと私は考えている。こちらが信頼すれば、相手も信頼を返してくれる。互いの信頼は時間がたつほど深くなっていく。私がうまくやれるようにと一生懸命に働いてくれる。

 よく知らない人をどこまで真司るのっかは、難しい問題だ。見知らぬ人との距離を測るのが下手な人を人見知りというが、知らない人を信頼せよ、とパウエルは考えている。すごい楽観主義だと私は思うが、悲観主義の上司の下で働くほど悲惨なことはない。やはりリーダーたるものは楽観主義でないといけないのだろう。

 リーダーは部下に対し一定の権限を持っている。仕事に関して服従を期待・要求できるし、服従しない部下や期待した成果をあげられない部下に対してはさまざまな手を打つことができる。服従だけでも仕事はすませられるかもしれないが、やる気を引きだすのは難しいだろう。仕事に対する誇りやいい仕事をしようという気概が生まれるには、優れたチームの一員だと部下が感じる必要がある。そしてそのためには、チームメンバーがリーダーを尊敬していなければならないし、また、自分たちがリーダーに尊敬されているとも感じていなければならない。

 部下のやる気を引き出すには、部下を尊敬することが必要だ。部下をリーダの権限で服従させてはいけない。そんなことをすれば、リーダが見張っているときだけしか部下は働かない。権限で人を動かすのは、良いやり方ではない。

 このとき活用し、成功の原動力になったツールが、事後に検討会をおこなうアフターアクションレビュー(AAR)という手法である。国立訓練所(NTC)は史上最高の革新的訓練所とも言われるが、 AARのコンセプトはそこで実証された。
  NTCの特徴は、戦闘訓練を終了するたびに包括的 AARをおこなう点だ。 AARでは、指揮官、オブザーバー、評価担当者が作戦本部に集まり、ビデオゲームのように戦闘を再生する。兵や車両の動き、射撃など、すべてが記録されており、それぞれについてさまざまな形で再生できる。たとえば、指揮官の作戦図に実際の作戦行動を重ね、予想と現実を比較対照することもできる。
 このあと、徹底的な分析をおこなう。すべて包み隠さず無視もせず、だ。このふり返りでは、戦闘がどのように展開したのか、どういう判断をなぜしたのか、そして、どういう行動を取ったのかなどについて指揮官とオブザーバーと評価担当者がそれぞれの評価を持ち寄る。ふり返りの目的は演習の検死解剖であり、指揮官を採点することでもなければ将来のパットン将軍(名将とうたわれた第一次・第二次世界大戦時の軍人)を選別することでもない。学びと改善のみに集中し、任務に成功したか失敗したかは問わない。非難合戦をしようというわけではないのだ。

  AARが優れているのは、このプロセスが訓練であって評価ではないからだ。一番大事なのは任務である。
(中略)

 自分たちがどのくらいの成果をあげているのか、どこを改善しなければならないのか、どうしたら問題や論争の原因を把握できるのかと考える組織なら、 AARプロセスが役に立つ。どこは正しく処理し、どこはまちがってしまったのか。検討の目的はただひとつ。自分たちのパフォーマンスを高めることだ。誰かの能力がうんぬんという話ではない。「どうすればもっとよくなるのか」と考え、お互いに腹蔵のない意見を出し合わなければならない。まち
がいを隠したり、それを避けるように組織を再編したりしない。真摯な姿勢で学びに焦点をあてること。また、 AARを採点の道具にしないことが求められる。優れた成果をあげている組織は、いずれも、このような評価が必要だと理解している。

振り返り分析(AAR)が大切なことは、今や常識である。しかし、上手に振り返り分析を行うことは難しい。振り返り分析は、「訓練であって評価ではない」べきだが、実際は自己「評価」であれ他者「評価」であれ何らかの「評価」を行う組織が殆どだろう。上手な振り返り分析ができるよう、リーダーは影響力を行使すべきである。

補足

AARの手順は、簡単。以下の4つの質問に従い考えていくだけです。あくまで責任追及しない、各人を評価しないことが大切です。

  1. 我々がやろうとしたのは何か?
  2. 実際には何が起きたのか?
  3. なぜそうなったのか?
  4. 次回我々がやろうとするのは何か? 

リーダーを目指す人の心得

リーダーを目指す人の心得

心の咀嚼力

承認欲求の流動食”に依存する人々」(シロクマの屑籠)は、そのメタファが秀逸なエントリである。

承認欲求 飢え
他人の行動 食物
他人の行動から承認欲求を満たす能力 咀嚼力・消化力

流動食とは何で、流動食に依存することがどう悪いか、理屈の上ではいろんな反論ができると思うが、このメタファ故に説得力のある文章になっている。

このエントリを読んで、「良薬は口に苦し」という言葉を思い出した。

ToDoリストの活用方法

 仕事ができる人が使いこなすNo1ツールと言えば、ToDoリストである。行うべき項目をその締切りを記してリスト化しておくものである。ToDoリストを作れない人は、ビジネスマンとしては三流以下である。仕事ができる人ほど、ToDoリストをメンテナンスして、仕事の優先度を決めている。

 さて、ToDoリストの項目を、上司から依頼された仕事や客先から依頼されたものなど、他の人から依頼された項目(外部項目)と、誰から頼まれたのではなく自分がやりたいなと思って記した項目(内部項目)に分けて数えてみよう。もし、外部項目が内部項目よりも多いときは、仕事のスタイルを見直した方が良い。あなたは仕事ができる人ではなくて、仕事をするだけの人になっている可能性が高い。

 仕事でも遊びでも、どうやるか(How)よりも何をやるか(What)が重要である。例えば、女の子をどうやって口説くかどうすれば振り向いてくれるかに一生懸命になると、誰を口説くかの選択か甘くなる。そして付き合ってから何か違う、ということになる。

 目の前の仕事をどうやってやり遂げるかに注意が向きがちであるが、その仕事を完璧にやり遂げたときどれくらい大きな意味があるかも考えると良いことが多い。別の見方をすれば、Howは戦術、Whatは戦略と言えよう。戦略ミスは戦術では挽回できないという言葉を思い起こそう。

参考リンク

リスト化仕事術 毎日使えて一生役立つ

リスト化仕事術 毎日使えて一生役立つ

情報操作に操られないために

 インターネットにスマートフォンなどでアクセスすることでたくさんの情報を収集することができます。最近は、情報量が多すぎてまとめサイトで済ます人も多いことと思います。でも、まとめられた情報は、あなたの意識を誘導するために故意に操作されていることがあります。
 例えば、「オスプレイ配備見直しをNYタイムズが社説県民大会に注目」(しんぶん赤旗)という記事を見てみると、

 同社説は、オスプレイについて「トラブルにたたられている」と表現し、「ひどい評判のものだ。非常に高額で、有用性に疑問が出ている兵器システムの典型例だ」と指摘。海兵隊側は同機の「悪名高い欠陥」が解決済みだと固執しているが、事故が後をたたないとしています。

とありますが、ニューヨークタイムズの元記事である「Ospreys in Okinawa」を確認すると、しんぶん赤旗の表現は原文とは異なります。

Tens of thousands of people rallied on Sunday in Okinawa to protest plans to deploy the MV-22 Osprey, the trouble-plagued tilt-rotor aircraft, at the United States Marine Corps base in the city of Ginowan.

しんぶん赤旗が『同社説は、オスプレイについて「トラブルにたたられている」と表現し』と言っているのは、" the trouble-plagued tilt-rotor aircraft"の部分を抜き出したんだと思います。しんぶん赤旗を読むと、ニューヨークタイムズがトラブルにたたられていると考えているような印象なんだけど、原文では沖縄の人がthe trouble-plagued tilt-rotor aircraftと感じて抗議しているって印象です。

さらに、ニューヨークタイムズは続けます。

The Osprey has a terrible reputation as a prime example of a hugely expensive, dubiously useful weapons systems. Okinawans don’t care about the misspent money.

しんぶん赤旗が『同社説は、オスプレイについて(中略)「ひどい評判のものだ。非常に高額で、有用性に疑問が出ている兵器システムの典型例だ」と指摘。』と書いたのは、この部分だと思うのですが、ずいぶん印象が違います。

こういうのを見ると、故意に表現操作してると感じる。デリケートな問題なんだからもっと正確に表現すればよいのに。。

しんぶん赤旗と比べ、沖縄タイムズの記事「NYタイムズ社説で「沖縄のオスプレイ」」は、正確である。

文章の書き方:悪い文章の例

 小論文や就職のエントリシートを読んで、ダメだなぁと思う文章があります。どこがダメなのか自分でもモヤモヤしていたのですが、最近やっとわかりました。ダメだなぁっと思う文章、それは、文章はうまいのだけど、主張を支える根拠がない文章でした。
 わかりやすく説明します。まずは、便利な!天声人語風メーカー ver.2.2を見てください。これは、以下を入力すると天声人語風に文章を作ってくれるツールです。

  • 攻撃したい人・団体(A)
  • 擁護したい人・団体(B)
  • Aの人・団体の、主張とその欠点(C)
  • Bの人・団体の、主張とその欠点(D)

例えば、以下のような文章を自動生成してくれる。

小泉首相靖国参拝は国内問題だと主張している。しかしちょっと待って欲しい。靖国参拝は国内問題だと主張するには早計に過ぎないか。
小泉首相の真摯な姿勢が、今ひとつ伝わってこない。
例えば中国からは侵略戦争を反省してないと主張するような声もある。
このような声に小泉首相は謙虚に耳を傾けるべきではないか▲

思い出してほしい、過去にも何度も小泉首相は中国の叫びを無視している。
小泉首相は中国の侵略戦争を反省してないという主張を間違いであるかのような発言をして、批判を浴びた。
確かに中国には反日教育という問題もある。だが、心配のしすぎではないか

小泉首相の主張は一見一理あるように聞こえる。
しかし、だからといって本当に小泉首相靖国参拝は国内問題だと主張できるのであろうか?
それはいかがなものか。的はずれというほかない▲

事の本質はそうではではない。その前にすべきことがあるのではないか。
小泉首相は、未来を担う一員として責任があることを忘れてはならない。
小泉首相の主張には危険なにおいがする。各方面の声に耳を傾けてほしい。▲

小泉首相に疑問を抱くのは私達だけだろうか。
靖国参拝は国内問題だと主張したことに対しては中国の反発が予想される。侵略戦争を反省してないという主張を支持する声も聞かれなくもない▲

小泉首相もそれは望んでいないはず。しかし小泉首相は妥協や調整が下手である。
靖国参拝は国内問題だと主張する事はあまりに乱暴だ。小泉首相は再考すべきだろう。
繰り返すが小泉首相は妥協や調整が下手である▲

小泉首相靖国参拝は国内問題だと主張したことは波紋を広げそうだ。今こそ冷静な議論が求められる。

つまり、二人の人AとBそれぞれの主張とその欠点だけから、これくらいのもっともらしい文章が作れる。しかし、文章の元になっている情報はA,B,C,Dしかないため、内容が薄っぺらい。

 さて、冒頭に戻って、読んでいてダメだなっと思う小論文やエントリシートに共通するのは、文章から読み取れる情報が少ないこと。特に、意見の根拠が記されていない場合が大抵です。上の例だと、CやDの理由を追加するひと手間で、ずいぶん出来栄えが変わると思う。

仕事の効率化の落とし穴

  「仕事の効率化が図れるフレームワーク思考」なるエントリを読んでいて、こういうのを信じてしまうと危ないなっと感じる。危ないと感じるのは、この記事に出ていることを実践しても、仕事の質が上がらないからだ。質を要求されない学校の宿題のような作業ならば、フレームワーク思考でやればよいのだが、仕事はそうはいかない。

  フレームワーク思考では、ある決まった型に沿って情報を整理するため、出来上がった仕事は平凡な出来になる。穴埋め問題を解くようなものだ。つまり、フレームワーク思考は創造性とは真逆の思考法なのである。そして、良くできた仕事とは創造性を総動員して取り組まれたものである。

  もし、あなたの仕事の出来栄えがパッとしない平凡なものであるときは、フレームワーク思考を磨いていはいけない。足りないのは効率ではなく、創造性なのだから。

二元論に注意しよう

 詭弁の手法に二元論に持ち込むというのがある(二択の罠)。私のこと好き?それとも嫌い?っと迫る手法だ。好きじゃないと言えば、じゃぁ嫌いなのねと極端なことを言い出して、困るやつだ。好きと嫌いの間にちょっと好きとかまぁまぁ好きとか無限に選択肢があり得るのに、好きか嫌いかの二つしか認めないという態度である。
 「さよなら電力足りる論」を読んで思うのは、どうして電力は足りるか?それとも足りないか? の二択で考えるんだろうかと。分かりやすいので二択の罠にはまりがちなんだけど、世の中ほとんどが、黒か白ではなくグレーであることぐらい皆わかっている筈なのに。
 関西電力圏内の電気が足りるか足りないかなんて、人間がどれだけ我慢するかの我慢量に依存する。10の我慢をすれば足りるし9の我慢では足りない。そういうことだと思う。原発が必要かという議論も、必要か?不要か?という二択で考えるから答えが出ない。電気料金や節電を含めてどれだけ我慢するか?二酸化炭素による地球温暖化の問題をどれだけ知らない振りするか? そういう定量的な話だ。以前、原発稼働反対のデモのプラカードに「経済より命」と書いているのを見かけましたが、これも経済をとるか?命を取るか?という二択の議論。経済なしに命を取れないのが現代社会であるから、両方取るという選択しかないのですよ。
 ついでなので、原発について議論を整理してみると、

  • 日本はどれくらいの電力使用量を目指すか?
  • その電力のどの割合を経済活動に充てるか?、社会福祉にどれだけの電力を充てるか?
  • 電力使用量が経済活動の量を制限するほど削減すると、税収が減る。その税金のどの割合を社会福祉・年金・教育に使うか? 地方への交付金にいくら使うか?
  • 最初の電力使用量をどの発電方法で賄うか? 水力発電は自然破壊を伴い、火力発電は二酸化炭素を出す、原子力発電所は大災害時のリスクが大きい。
  • あるいは電力を外国から買うという方法もある*1。その際には、おそらく韓国・中国から電気を買うことになろう。その場合は、例えば領土問題がこじれた際には電力供給をネタに日本は妥協をせまられるだろう(ロシアがかつてヨーロッパへのガスパイプラインを閉じて、真冬のヨーロッパの暖房を止めた件を思い出そう)。

 電力問題はとても大切なので、YesかNoかの二元論で思考停止にならず良く議論する必要がある。

*1:脱原発を採択したドイツはフランスから電気を買っている